2020年6月4日木曜日

ボルグ/マッケンロー #2

映画『ボルグ/マッケンロー 氷の男と炎の男』を観て、改めて2人の名選手に興味が湧いた。
鑑賞前は、マッケンローの印象は、短気で、試合中に審判に暴言を吐く選手、ボルグは、生真面目な男だった。
だが、映画のおかげで、特にボルグの印象が変わった。それまでの印象は、アイス・マンと呼ばれるほどクールであまり喜怒哀楽を表に出さない優等生のプロテニスプレーヤーだったが、実は、若い頃は、マッケンロー同様短気で、練習中や試合中に暴言を吐いていたらしい。その事実は本当に意外だったし、人間らしい面があったんだな、と少し好感が持てた。ハートは常に熱く燃えているが、コーチの教えを守り、試合中は冷静に、そして一球一球に集中し、引退するまでひたすら忍耐強く頑張り通してきた彼が感じていたストレスやプレッシャーは、相当なものだっただろう。テニス界に様々な記録と記憶を残してきた彼の、人としての物語も後世に語り継がれるべきだと思う。映画には、彼が、マッケンローが暴言を吐いている映像を見詰めているシーンがあった。感情を表に出しているマッケンローが羨ましかったのか、昔の自分を見ているようで懐かしかったのか。マッケンローは集中出来ていない、と一緒に観ていた彼の妻が言うと、ボルグは即座に反論。集中し過ぎている故のブチ切れだと。あの瞬間、マッケンローの一番の理解者はボルグだったに違いない。
一方のマッケンローは、そんなボルグを尊敬していたようだ。1980年の全英オープンでは、準決勝までは暴言を吐きまくっていたが、ボルグとの決勝戦では、キレることなく自分のテニスに集中し、二人でテニス史に残る激戦を繰り広げた。映画では、ボルグが冷静にインタビューに答える映像を見ながら、ああなりたかったんだ、とマッケンローがつぶやくシーンがあった。マッケンローにもボルグのコーチのような方がいたら、彼もボルグのようになっていたのだろうか。そんなマッケンローは見たくもないが。
引退後、2人は親友になったらしい。似た者同士だからすぐに気が合っただろうな。

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