2021年12月24日金曜日

アナザーラウンド

2021年10月、キネマ旬報シアターにて『アナザーラウンド』を初観覧。2021年9月公開のデンマーク映画。主演は、日本では「北欧の至宝」と呼ばれているマッツ・ミケルセン。

適度のアルコールが仕事やプライベートを充実させる事を証明するための大学か研究所による本格的な実験の被疑者になる男の物語かと思いきや、実際には、適度のアルコールの効果について書かれたある学者の論文が正しいかどうかを割と真面目に確かめようとした仲良し高校教師4人組が、ある時から、飲むのが好きな人間なら誰しもが想像できるような展開に陥るお話。

その4人の友情が微笑ましかった。そして、マッツ様演じる冴えない歴史教師マーティンがお酒の力を借りて興味深い授業を始める様やその授業を受ける生徒たちの表情が生き生きとし出す様が微笑ましかった。まさに中年の危機を迎えていたマーティンとその妻とのドラマもまた観応えがあった。ラストシーンでは、マッツ様が、ダサい一般男性を演じた鬱憤を晴らすかのようなキレキレダンスを披露。爽快なエンディングだった。

デンマークと言えば、チョコデニッシュと2010年のサッカー南アフリカワールドカップで日本と対戦した国という知識しかなかった。あの試合では、オランダリーグの「フェイエノールト」で我らが小野伸二の同僚だったトマソンがPKを決めたが、その後、彼が負傷退場したこともあり楽に勝つことが出来た。そして、今回、この作品のおかげで新たにその北欧の国の雰囲気を若干だが知る事が出来た。外国映画の観賞は、文字情報だけでは得ることが出来ないその国の空気感等が堪能できて有意義だ。

2021年12月7日火曜日

クーリエ:最高機密の運び屋

2021年10月、『クーリエ:最高機密の運び屋』を初観覧。2020年公開。イギリスのスパイ映画。ベネディクト・ガンバーバッチ主演。

1960年代にイギリスの諜報機関MI6からスパイ活動の手助けを要請されてそれを引き受けてしまったロンドンのセールスマン、グレヴィル・ウィンの実話を基にした物語。

女房子供を幸せにするのが生きがいである一介のサラリーマンが、国の諜報機関から、ビジネスを装って外国に出張してその国の機密情報提供者と接触する事を依頼された場合、まず、世界平和の為ならと渋々協力、やがて、普段感じていなかった愛国心が芽生えてやりがいを感じるようになり、かの国のスパイにも次第に情が湧いてくる。

ここまでは想像がつくが、キューバ危機の影でウィンさんがソ連のスパイに示した男気は絶対に真似できない。そもそも無謀だ。

ベネディクト・カンバーバッチが、MI6から依頼された仕事を全うしたにもかかわらず、世界平和の為に祖国を裏切ったソ連の内通者の安否を気遣い奮闘するウィンさんを見事に演じ切っていた。特に、終盤のカンバーバッチの姿は、『告発』のケヴィン・ベーコンを連想するほど感動的だった。

キューバ危機に関しては『13デイズ』や『JFK』で何となく知っているつもりになっていたが、本作での、政治家たちの苦悩の影で実際の諜報機関がどういう役割を果たしていたのか少しだけ垣間見えて有意義だった。

ジェームズ・ボンドやイーサン・ハントのようなスーパースパイの活動を観るのも楽しいが、本作のような実際のスパイの地道な活動を観るのもよりリアルな緊張感が味わえて面白い。

『007』や『ミッション・インポッシブル』のような娯楽作品以上にシリアスなヒューマン・ドラマが描かれたスパイ映画の名作だ。