2022年1月14日金曜日

ティモシー・ダルトンの007

ティモシー・ダルトンが主演した『007』シリーズの第15作と第16作、『リビング・デイライツ』と『消されたライセンス』を2020年秋にTV画面にて初観賞。その後もこれまでに数回観ているスパイアクション映画。それぞれ1987年と1989年に公開された。

イギリスの諜報機関の凄腕スパイ、ジェームズ・ボンドの活躍を描いた作品群。

ショーン・コネリーとロジャー・ムーアが演じていたボンドは、美女たちとすぐに男女の仲になるが、ティモシー・ダルトンが演じた彼はそうではない。その上、ダルトンが演じた彼はジョークもより少ない。そのせいで彼は堅物に見える。それに、50代でボンドを演じていたムーアは40代前半の彼よりも若々しく見える。娯楽大作の主役としては、やはり、ロジャー・ムーアは別格だ。

しかし、真面目に見える分、ダルトンが主演した作品はスパイ物としては面白い。そして、後にダニエル・クレイグが演じたボンドと似ている、浮ついていないという点は好感が持てる。

それでも、歴代のジェームズ・ボンド俳優と比べるとやはり地味に映る。でも、それは、ボンド俳優としてはそう見えるというだけで、ダルトンがカッコいい俳優さんである事は確かだ。

2作品のボンドガールに関しては、ダルトンが歴代俳優と比べて華やかさに欠けるせいか、美人ぞろいだ。『リビング・デイライツ』のマリアム・ダボ、『消されたライセンス』のキャリー・ローウェルとタリサ・ソトがそれぞれ綺麗で妖艶だ。

そして、『消されたライセンス』には若いベニチオ・デル・トロが悪役で出演している。彼にとっては2作目の映画出演らしい。この頃から存在感がある俳優さんだ。

2作品ともダニエル・クレイグ主演の『007』と同じくシリアスな作風。あくまでも私の主観だが、ダルトンにはクレイグほどの男の色気が感じられないので、ファンの方には申し訳ないが、両作とも『007』作品としてはあまり好きではない。

しかし、スパイ映画としては良作だと思う。


ロジャー・ムーアの007

ショーン・コネリーの007


2022年1月6日木曜日

ラストナイト・イン・ソーホー

2021年12月、『ラストナイト・イン・ソーホー』を初観覧。ホラー映画。主演はトーマシン・マッケンジー。

宣伝用のポスターからアニャ・テイラー=ジョイが主人公を演じているのかと思いきや、主役はトーマシンだった。『オールド』では出演シーンが期待していたよりも短かったが、本作では全編にわたってその美しい姿を拝めたので良かった。

田舎からロンドンに出てきた若い女性エリーが、あるアパートで生活を始めて以降、夜な夜な霊的な体験をする物語。

ある女性の悲しい過去を垣間見る霊感の強いエリー。美しいトーマシン・マッケンジーが演じたその彼女の、やたらと街中を走り回る姿や、笑顔、怯える顔といった様々な表情が終始愛らしくて、ホラーというよりもファンタジーに感じた。そして、後半の展開にも惹き込まれた。マジで面白かった。

冒頭の、田舎の実家で踊るエリーの愛らしい笑顔にまず惹き込まれた。そして、彼女がロンドンのデザイン学校の寮で生活を始めた時、彼女がヘッドフォンで聴いていた、私も大好きなバンド「キンクス」を、生意気そうな若い男が、ジジイが聴く音楽、と言って彼女を馬鹿にする場面で彼女への感情移入の度合いが高まった。人の好みを馬鹿にするヤツは最低だ。また、彼女を事あるごとに田舎から出てきた変わり者だとからかう彼女の性悪なルームメートの顔が、田舎から上京した頃、建物の高い東京は空が狭いと感じた事を東京育ちの同僚に話した時に、ポエムみたいねとバカにしてきたその東京女の意地悪な顔を連想させた。田舎者を馬鹿にするヤツはキライだ。

それで、余計にエリーが愛しくなった。

音楽も私好みだった。「キンクス」だけでなく、アニャ・テイラー=ジョイ演じるサンディがオーディションで歌った「ダウンタウン」は私の大好きな曲だ。様々な要素が私の心の琴線に触れる為、個人的にとても愛おしい物語だった。

ホラー要素も割とあるが、そんな事を忘れさせる美しいトーマシン・マッケンジーと物語の展開に酔いしれた作品。彼女と脚本が素晴らしい。

2022年1月5日水曜日

最後の決闘裁判

2021年11月、『最後の決闘裁判』を初観覧。歴史映画。公開時83歳のリドリー・スコット監督作。1386年に実際に起きた事件を基にしている。

騎士カルージュの妻マルグリットが夫の友人ル・グリから性的暴行を受け、それを知ったカルージュが決闘裁判でル・グリと対決するお話。物語は3人の視点で描かれている。

マット・デイモンが演じたカルージュは無骨で何よりも自分の名誉が大事な男。アダム・ドライバー演じるル・グリは知的で世渡り上手で女性に独りよがりな想いを押し付ける男。

2人とも地方の有力者の中にいそうな人物だ。小さな世界のトップに立てば大抵の事は自分の思い通りになるし、法を犯しても、それをもみ消せるし周りの人間たちに守られる。

地方出身なのでその程度の事はあり得ることだと想像できる。

自分のプライドが何よりも大切なカルージュは妻の本当の気持ちを知ろうとしない。マルグリットに横恋慕しているル・グリは、彼女がガサツな夫に実は嫌気がさしていて知的な自分に好意を抱いていると思い込んでカルージュ不在時の家を突然訪問して彼女を凌辱する。ここまでは、現代でも起こり得る悲劇だ。

その後、カルージュは己の面子にかけてル・グリと決闘する事となる。ジョディ・カマー演じるマルグリットは、女性と真摯に向き合えない彼らに翻弄される運命をただただ受け入れなければならなかった。

現代以上に女性が差別されている時代の悲しいお話だ。お三方の演技はとても素晴らしかった。

相手の命を奪った方が正しいという判決が下される中世ヨーロッパの決闘裁判に関しては、理不尽だが、男としては理解できる。娯楽が少ない時代の決闘は、腕力に自信のある男たちにとって、アドレナリンが体中に湧き上がる快感を味わえる、ある意味、一種の娯楽であったのではないだろうか。私も男なので、徒に他人を傷つけたいという気持ちはないが、戦争や最終手段としての決闘の際の、本来ヒトに備わっている野性の本能を解放できる瞬間の快感は想像できる。

結局、時代が違い過ぎるので一現代人としては、特に決闘に関しては、シュールに感じる作品だった。だが、大勢の方々が感動しているので、自分の感受性が低いのかなと悲しくもなる。確かに、私には芸術に対する感性が欠けている。