2026年11月8日日曜日

映画『踊る大捜査線 N.E.W. メトロポリスを駆け抜けろ!』(2026年)

還暦前の青島刑事の冒険。

青島俊作と愉快な仲間たちというスタンスが観易くて楽しかった。フジテレビのお祭り映画というノリの軽い作風には室井管理官は象徴くらいが丁度いいなとか思ったり、アクの強いキャラは青島刑事だけの方がシンプルで観易い、深津絵里さんは存在感がありすぎるし、若くて後輩感満載の趣里さんの方が合っているとか思ったりした。

にしても織田裕二さん肥えたなあ。

昔の青島刑事は事件が起きると目ぎらつかせて前傾姿勢で猪突猛進の全力疾走という印象。しかし、本作の青島には疾走感少な目で、上体が立っていて顎が上がっていたりもしていた。喜寿を越えたタカとユージもボヤいていたが、年齢を考えたら無理もない。駆け込み乗車を早い段階で諦める私よりは断然元気だが、若く見られたいという見栄や悪あがきがそれほど見られなくて好印象。人は皆老いるのだ。

織田裕二のモノマネ芸人山本高広さんも登場。本人との共演は、織田さんが彼の芸に否定的なコメントを出していたので、少し驚いた。これで和解かと思いながら2人の掛け合いを眺めていたが、しかし、織田さんは最後まで山本さんに気を許している風には見えなかった。あれは演技だったのか、本音だったのか、それとも、観客動員数を上げるためには何でもやろうと腹を括っていたのか。

今の若者の代弁者のような立ち位置の美浦刑事が、若い世代にはスジなんかどうでもいい、と言っていた。

なるほどねえ。でも、スジが通っていないと自身の考えを構築する際にブレるのではなかろうか。ま、そういう疑問が湧き上がってしまうのがオジサンなのだろう。しかし、その点は、理解は出来るけど分かり合えない。これはまさにジェネギャだ。

因みに、警察用語では、スジとは、具体的な証拠や情報の裏付けのことを言うらしい。一つ勉強になった。

汚職やら隠蔽やら冤罪やら警察組織の腐敗やらがマスコミの格好の餌食にもなっているので、そりゃ、警察の公式発表なんかよりネット情報を信じるよね、という問題提起もまた色々と考えさせられた。

何を信じればいいのだろう。恐らく一番信用できるのは、自分の経験を通して醸成された直観、そして、持ち前の野生の勘だろう。

近藤芳正さんの登場は、最近、TVドラマ版を観返していただけに、嬉しい驚きだった。
 
続編があるらしい。青島刑事は、私のような昭和、平成、そして、令和を通して出世することも無く現場であくせく働き抜いてきた人々には感情移入しやすいのではなかろうか。令和の寅さんになってほしいものだ。

2026年11月7日土曜日

アニメ『あしたのジョー2』(1980年)

孤児院を脱走して東京下町のドヤ街で暴れ回っていた少年、矢吹丈はそこで元ボクサーで酒に溺れていた丹下段平の目に留まる。ほどなく少年院に入った丈はそこで少し年上のプロボクサー力石徹と出会う。

前編でその力石徹とリングで死闘を繰り広げた丈。

そして、後編の本作。

力石徹との激闘後、放浪していたジョー。ドヤ街にまた舞い戻る。ヤクザの用心棒に成り下がっていた旧敵ウルフ金串の窮地を救うべく喧嘩師、ゴロマキ権藤と対決。 そして、半年ぶりに泪橋の丹下拳闘クラブへ舞い戻る。 

過酷な減量が原因でこの世を去った力石徹の墓にミネラルウォーターを掛けて再起を誓うジョー。帰り道に力石が所属していた白木ジムの白木葉子と再会。復帰戦に向けて少年院仲間だった親友マンモス西とスパーリングを始める。

復帰して順調に連勝するジョー。しかし、白木ジムの新会長に就任した葉子は、彼がまだ完全に復活していないことを見抜く。それでも、出稽古で暴れ回る野生児。

若い選手たちをウルフ金串や力石徹のように潰されないように、ジョーの復帰を姑息な手段で逆に潰しにかかろうとするほかのジムの会長たち。そして、ジョーの欠点を見抜いた敵陣営。イップス。矢吹丈も人の子。

段平の機嫌を一級酒で直すジョー。パチプロ並みの腕前。近所の子供たちにも慕われているが、イップスには相変わらず苦しんでいた。 川辺でのあの世の力石との語らい。吹っ切れたかと思いきや身体が言う事を聞かない。

もがき苦しむジョー。 自分なりの荒療治を見つけて早朝からサンドバックを叩きまくり、ロードワークに勤しむ。白木葉子の深い愛がそうさせたのか、無冠の帝王カーロス・リベラ登場。

訳ありの旅に出る直前のゴロマキ権藤と再会するジョー。マンモス西が引退を決めるが、彼は諦めない。そして、南米の黒豹カーロス・リベラのラフプレイを目にする。野生児の目に光が再燃。類は友を呼ぶ。

ジムを畳む丹下段平。それでも諦めないジョー。カーロス・リベラの、南米選手がよくやる、反則プレイを見破り闘志が湧き上がる。白木葉子の思惑通り、無冠の帝王に喧嘩を売る野良犬。イップスに苦しむもファイティングポーズ。

カーロス・リベラと己のイップスと闘い続けるジョー。それを見つめる白木葉子。来日して3戦目にて本領を発揮する無冠の帝王。能ある鷹は爪隠す。試合後に予期せぬ発言。

世界タイトル戦を控えているカーロスがジョーのいるドヤ街を訪れる。ホワイトクリスマス。2人の野生児の運命的な邂逅。公園でのじゃれ合い。火薬の匂いとナイフ。漢たちの誓いと財閥令嬢からの粋なプレゼント。

世界ランカー対喧嘩屋の年越しマッチ。クロスカウンター。巧者カーロスに「オレ流の出たとこ勝負」で立ち向かうジョー。ロープ際の死闘。

殴られっぱなしのジョー。再びロープ際の攻防。光る眼。 スペシャル・ローリング・サンダー(志那虎!古)みたいなブロー。カーロス、おめでとう、本当に素晴らしい試合だ、と呟くロバート。二人にとってはデートの様な激闘。

カーロスとの試合の余韻に浸るジョー。拳を痛めたボクサーは缶切りの無い缶詰みたいなもの。マンモス西の引退式。

カーロス戦のファイトマネーを増額しようとする葉子に激怒するジョー。

「ブスブスとそこらにある見てくれだけの不完全燃焼とはわけが違う。ほんの瞬間にせよ眩しいほどに真っ赤に燃え上がるんだ」

疫病神、死神、壊し屋とマスコミに騒ぎ立てられるジョー。ホセ戦後、記憶喪失に陥ったカーロスの回復を手助けすべく渡米を決意するも、それにはパスポートやビザが必要なことを知らず、白木葉子を頼る。なんだかんだ言って仲がいいお二人。

フリーのルポライターでアマチュア時代にボクシングを少しかじっていた須賀清登場。彼から白木葉子がホセ対カーロス戦のビデオを入手していることを聞き、彼女に会いに行くジョー。ベネズエラの大将の負け様に愕然とする。

減量に苦しむジョー。彼をバックアップする関東テレビ主催のパーティに姿を見せたホセ・メンドーサ。隙の無かった世界チャンピオンの静けさや器の大きさに呑まれた野生児。

ジョーを根無し草とすぐに見破る世界王者のホセ・メンドーサ。人形に張り付けられたガラスの目玉のような眼を持つ東洋太平洋チャンピオン金龍飛。下町のチンピラから世界の矢吹丈へ。キング・オブ・キングスと氷の王者と疫病神。

密かに体重との闘いに苦しんでいたジョー。コンピュータ野郎、金龍飛。軍人。氷の様な男。そんな彼を警戒する丹下段平。

試合後に手を洗い続ける病的な男、金龍飛。35歳。遅めの成長期が来て体が大きくなろうとしているまだ若いジョー。タイトルマッチは3週間後。それに出場するための減量との闘いが始まった。

同じく減量で苦しんだ力石徹が籠っていた白木ジムの地下室に押し入るジョー。そこに乗り込むも彼に殴り返されてしまう丹下段平。

軽量の日、段平に騙されていたことを知り激昂するジョー。街に出てあらゆる減量を試みる。カーロスの仇を討つべく、そして、力石徹が命を賭してこだわったバンタム級に固執。無謀な男の美学。おっさんには眩しいだけの若者にしか成せない暴走。

金龍飛の独白。不幸話はカッコ悪いが、あんな過去は、相手次第だろうが、語らずにはいられないものなのかもしれない。

勝てる気がしない試合に臨むジョー。そりゃ、過酷な戦争を生き延びて肉親とも残虐な別れ方をした話を聞かされれば誰もが気後れするだろう。ましてや、贅沢慣れなんて言われたらなおさらだ。己の悲話を得意気に語る輩は好きにはなれないが。

一方的に殴られて何度もダウンするも、その都度なぜか意地でも立ち上がるジョー。そんな彼に驚きの眼差しを向け始める金龍飛。彼の必殺技「舞々」が遂にベールを脱ぐ。力石の亡霊と寡黙なくせに自己顕示欲の強い軍人。カタルシスたっぷりのタイトルマッチ。

元全日本ライト級チャンピオンの焼き鳥屋の親爺が「タイトル獲得前に16歳のホセ・メンドーサと闇試合をしてコテンパンにやられたが、引退後、ホセが王者になったと知った時、嬉しくて一晩中飲んだ」とジョーに語る。ただの昔話なのに沁みる。

暴力団から足を洗ったウルフ金串と旧交を温めるジョー。暴走族のジローとも知り合いボクシングの手ほどきをする。ドヤ街のチンピラがヒーローになって凱旋して地元に善行を施す彼らしさにほのぼのとしてしまう。

東洋太平洋チャンピオンの防衛戦を行うためにハワイ入りするジョー。同時期にハワイでノンタイトル戦を控えているホセ・メンドーサに絡んで怒りを買う。

また女だてらにしゃしゃり出てボクシングのプロモーターごっごでもして遊ぼうってのかい?と白木葉子に痛烈な皮肉を浴びせて、試合前に激励に来たホセにも、あんたの祝福の握手なんて空々しい儀式は必要ねえ、と言い放つ。ハワイでも喧嘩屋ジョー。

ホセの粋な計らいで彼と草競馬を楽しむジョー。彼のカーロスへの本音も聞けて少しスッキリする。月に一度、健康診断をする世界チャンピオン。何だかいけ好かないが、立派な大人だ。そして、プロモーターとしてしゃしゃり出る葉子。

「このピースサインははるばる日本からやって来た少々荒っぽい私の友人に贈る」とジョーを意識しながら記者たちに語るホセ。「偉大なる」を見せつけたノンタイトル戦。ジョーと "See you again!" と別れの挨拶を交わす様もまたカッコいい。

若ぇ頃ってのは血の気が多くって見境が無くなる。ゴロマキ権藤が再登場。トップ屋の須賀同様、彼もまたカッコいい。 本物は本物を知る。新丹下ジム落成式。その夜、旧ジムに忘れ物を取りに行くジョーと段平。余計な欲が不幸の始まりなのかもしれない。

13は不吉な数字ではなくトランプのキング。これは目から鱗だった。世界ランキング1位との試合にやる気が起きないジョー。ホセからのメッセージと、勝者が世界王者への挑戦権を得る事を知りようやく闘志に火がつく。不吉な札、ジョーカー。

「左は世界を制す、か。じゃあ、俺はその左を制してみせらあ。そうすりゃ解決だ」と言い放ち気合を入れ直してレオン・スマイリーに挑むジョー。レオンの執念。死神のホセへの意地。血しぶきがえぐい文字通りの死闘。試合後に芽生える友情。ジョーカー。ジャックがキングになれるかは先の事。

ホセ・メンドーサとカロルド・ゴメスの世界王者統一戦に招待されたジョーと葉子。コーク・スクリュー。見切り。ブーメランフックと志那虎の神技的ディフェンスを連想。 曲げられたコイン。大山倍達。

ジョーが野生を無くしたと危惧する葉子は、ホセ戦の前に、彼にもう一試合やらせることにする。女だてらになかなかやるねえ、ブルジョア令嬢の気まぐれ?と陰口を叩く記者たちの性差別がえぐい。でも、昔はあれが普通だった。いや、陰口なら今もかな。

マレーシアの野生児、ミスターチョコレート、が日本に入国して、新丹下ジムを表敬訪問。持ち前の野生の本能の赴くまま、ジョーに襲いかかる。不覚を取った元野生児の闘志に火が付く。今観てもハリマオは異常だ。彼が東洋太平洋9位だったとは。

男がよくよくの事でやって来た時、訳を訊いたり断ったりしますかね、とジョーに語るゴロマキ権藤。対ハリマオ戦に備えてヤクザたちとリングで乱闘スパーリングをするジョー。締めに権藤とタイマン。 

カーロス・リベラらしき人物が街を徘徊。獣のようなハリマオと野生の勘を取り戻したジョー。変幻自在な戦法に苦しみつつ嬉々として立ち向かう喧嘩屋。試合後、廃人と化した無冠の帝王と再会。

パンチドランカーの末路。 白木葉子の嫌な予感。彼女の「プロモーターごっこ」が裏目に出た。しかし、あのハリマオとの戦いを経て喧嘩屋としての野生の勘を取り戻せたわけだからプラマイゼロなのかな。静養中のカーロスを訪れるジョー。

俺たち二人は鑑別所でずいぶん殴り合った。その殴り合いがこっちは商売になっちまった。お前はちんまりとおとなしく収まりやがって模範青年。おまけに可愛い嫁さんもものにして。ま、せいぜい幸せになってくれや。ジョー。西。紀子。切ない関係。

アスパラガスと医者は食わず嫌いのジョー。 私は噂で傷つくようなプライドは持ち合わせていない、と語る、どこまでもカッコいいホセ・メンドーサ。

「今思うとどうってことはねえ。男と男が精一杯背伸びして意地張って殴りっこしただけなんだ。ただそれだけだった。そして、ただそれだけがどれほど貴重なことなのかってことを教えてくれたのが、おめえだったんだ」と力石への想いを語るジョー。

ホセ戦前夜に談笑するウルフ金串とジョー。近くのカウンターで杯を傾けていたゴロマキ権藤。「おい、もう一杯頼むぜ。前祝にな」とバーテンダーにオーダーして「何の前祝で?」 と返され、「俺の大事な人がよ、一世一代の大勝負するんだ。おい、これじゃねえ。もっと上等なヤツだ」と諭す。

対ホセ・メンドーサ戦。劣勢から攻勢へ。「本当によ、何とかなっちまうもんさ。先の事なんかさっぱり分からなくてもよ、カッコはついちまうもんさ。俺は今までそうやってやってきたんだ。どんな時も。独りでよ」と心で呟くジョー。

ホセの虚勢を見抜くジョー。しかし、王者もまた自身の「見切り」が通じない理由を悟る。それでも、何度でも立ち上がって偉大な男と殴り合う地獄からの使者。紀子の想いに鈍感な喧嘩屋。真っ白になるまで何も言わねえでやらしてくれや。ジョーの覚悟。

何度倒れても立ち上がる挑戦者に恐れをなしはじめるキング・オブ・キングス。紀子と違って想いを直接伝えた葉子。正気を失う王者。クロスカウンター。トリプルクロス。ジョーのグローブと告白。白髪と灰。

2026年11月6日金曜日

映画『時には懺悔を』(2026年)

公開時観覧。

主要登場人物のほとんどが何らかの罪を犯している物語。 

惨殺された米本探偵の事件を調査する同業者の佐竹とその助手の聡子。その二人もまた後ろ暗い過去を引き摺っていた。

佐竹を西島秀俊が、聡子を満島ひかりが、それぞれ熱演。

酒を呷り続けるやさぐれきった西島秀俊は強烈だった。干されていた時期はこんな感じで荒れていたのかと邪推してしまうほどリアルだった。

常に苛々している汗ばんだ満島ひかりの妙な色っぽさもまた目を引いた。そんな彼女がいなかったらと思うとぞっとする作品だ。

徐々に解明されていく謎。途中からミステリー色は薄れ、一人の哀れな泥棒の生き様と罪深い母親のヒューマンドラマに移行していく。

貧相な泥棒を演じていた宮藤官九郎の演技もまた妙にリアルで、実質、彼が主役だったと言えると思う。

そして、罪の意識に苛まれる母親を黒木華が見事に体現。いずれは、寺島しのぶさんをしのぐ俳優さんになるのではと思わせる演技だった。

障碍児を家族に持った人々の絶望と湧き上がる情と人間愛。どんな風貌でも命は重くて愛らしい。

様々な辛い境遇にいらっしゃる方々をほぼ全て見たと思っていたが、今回初めて見た障碍児の方々の存在もまた衝撃的だった。前知識無しで心の準備もしていなかったので、いきなり見せられて驚いてしまった。ああいう病院に勤務していた経験でもない限り、または、家族や親族に存在しない限り、大抵の人もまた驚いてしまうのではなかろうか。そして、障碍児を出産した女性の皆さんのその時の哀しみの重さは決して推し量れない。

正直、正視するのが辛い場面が多かった。覚悟を決めないと再観は難しいが、観ておいて良かったと思える、打海文三原作の小説を映画化した中島哲也監督・脚本作。

2026年11月5日木曜日

映画『白鳥とコウモリ』(2026年)

公開時観覧。

忌まわしい過去と、加害者家族と被害者家族の確執がもたらしたそれぞれの事件が緻密に絡み合っている物語。

若さ故の過ちと善人の恩情。加害者家族と冤罪の哀しみ。殺人罪の時効。ネットにさらされる恐怖。過去に蓋をしようとした年配者たちと真実を追い求める若者たち。彼らに触発された刑事。血の怨念。

オチには少し拍子抜けしたが、時系列が入り乱れた物語の組み立て方がお見事だった。

被害者の娘役を演じたのは今田見桜。事件の際の父親の行動に納得できず、母親の制止を振り切り、加害者の息子と事実を追い求める姿が凛々しかった。

そして、加害者の息子を演じたのが、スーパーアイドルグループのメンバーでもある松村北斗。謙虚さを身に纏うも決して芯は弱くない様が今回も好感を持てた。

n最後はお2人の掛け合いのシーンで締めくくられる。その最後の演技は物語の終わり方にふさわしい情感あふれるものだった。おかげで久し振りに余韻に浸りながら館内が明るくなるのを待った。

故東野圭吾が紡いだ物語を岸善幸監督が映像化したミステリーの良作。

2026年11月4日水曜日

映画『プライドと偏見』(2005年)

女性に相続権が無かった18世紀末のイギリスの田舎町に暮らす5姉妹と資産家の男たちとの恋愛模様。

原作はジェイン・オースティンの小説『高慢と偏見』。

キーラ・ナイトレイ、ロザムンド・パイク、ジュディ・デンチ、そして、ドナルド・サザーランドといった錚々たる有名俳優たちが出演していて評価も高い作品なので観てみたが、劇中の人間関係が複雑過ぎて、当時の英国の事情にも興味が湧かなかった私には感情移入が難しかった。お目当てのキャリー・マリガンも出演時間少な目で期待外れだった。

2026年11月3日火曜日

映画『青い珊瑚礁』(1980年)

原作は1901年にヘンリー・ドヴィア・スタップクールが発表した同名小説。

火災が発生した船から脱出したコックのパディといとこ同士の少年少女が、珊瑚礁に守られていた孤島に漂流。パディの逝去後、子供のリチャードとエメラインは2人きりで暮らし続ける。そんな彼らが、反抗期、思春期、妊娠、出産を通して青年になっていく成長記。

ドラマ『ストレンジャー・シングス』の少年たちのアイドル、フィービー・ケイツの類似作『パラダイス』は観ていたが、本作はまだだった。最近、気になって初観賞。淫らな性描写を期待すると肩透かしを食らう、どちらかといえば純愛物。

心身共に娘の方の成長が早く、筋肉がついただけの無邪気なリチャードは時に苛々が募って些細な事で彼女と口論になるが、2人しかいないので離れられない。

若干、退屈だったが、ブルック・シールズの健康的な肢体は美しかった。そして、南国の風景や夕日が沈む様もまた綺麗だった。

2026年11月2日月曜日

映画『ヤング≒アダルト』(2011年)

都会で物書きとして食いつないでいた、文才と美貌だけはまだあるビッチな40歳前のメイビスが、地元で結婚して赤つちゃんもできた元彼とよりを戻すために哀しい想い出が詰まった田舎に帰郷。

悲惨な学生生活を送っていた同級生のマットとも再会。

彼に訪れる唐突な僥倖。

どんな美人でも悪あがきはみっともない。そして、どうあがいても過去は変えられない。しかし、一度くらいは振り返ってもいいのではと思わせてくれた。ネガティブばかりではなくて良かった。リアルでシリアスなコメディ。

ノスタルジーもセンチメンタルも少しでいい。感傷に浸っている暇は無い。人生は続くのだ。

2026年11月1日日曜日

映画『her/世界でひとつの彼女』(2014年)

PCのOSに恋をする、という近未来のお話だが、AIが社会進出してきた昨今、現実味を帯びてきた。

「OS1」のサマンサが擬人化したあたりから、やっぱ漫画みたいだな、と白けかけるも、主演のホアキン・フェニックスや声だけの出演のスカヨハが殊の外真面目にやっているので不思議と惹きこまれていった。

顔や身体の無い女性を愛するって可能なのか。そういう事を言ってしまうと、女性の裸体を肉欲の吐け口としかみなしてないからそう考えるのだ、と怒られそうだ。

これだけAIという言葉が巷に氾濫すると、スティーブン・スピルバーグの宇宙人のように、この世の影の支配者たちが、地球が生物の住みかとしてもたなくなる事と、ヒトの魂をAIに移植する実験の成功を知って、人類にプログラミングも悪くないと思わせようとしているのかも、とすら邪推してしまう。

AIと結婚した人々もいる時代だ。

若い頃は考える事すら無かったが、歳と共に衰えてきた身体の部位は機械化してもいいのではと思えてくる。目然り、耳然り、歯然り、そして、痛む関節然り。寝たきりの爺になったら受け入れられる世界だ。

まだ演劇の間や小説の行間は読めないだろうが、そのうちそういう事もできるAIが天才たちによって作り出されるのだろう。

興味深いやら恐ろしいやら。

2026年10月31日土曜日

映画『キャリー』(2013年)

原作はスティーブン・キングの同名小説。

シシー・スペイセクが主演した1976年公開作のリメイク。

いじめられっ子のキャリーに宿っていた超能力が、プロムを楽しんでいた彼女への醜悪な辱めが引き金となって、暴発するお話。

旧作のシシー・スペイセクのキャリーは冷たい狂気をまき散らす復讐の鬼と化していたが、クロエ・グレース・モレッツが演じた本作のキャリーは時に哀しみや怒りを滲ませながら激情を爆発させていた。チャーミングな笑顔が愛らしい彼女ならではのその感情の発露に魅せられた。

旧作の方が評判はいいが、撮影技術的にも古く感じてしまうので、作品としては本作の方が観易いし良作だと思う。でもそれは、私がクロエを大好きだからそう感じるのだろう。

旧作は名作。本作は、クロエファン向けかもしれない。


2026年10月30日金曜日

映画『キャリー』(1977年)

高校のシャワー室で初潮を迎えたキャリー。その症状を信心深い母親から教わっていなかった彼女は流れ出す血にパニックを起こす。それを見ていたクラスメートたちは大爆笑。世間知らずの彼女をからかい始める。それを虐めと感じ始めた彼女はどんどん孤立していくも、それと同時に不思議な力を身につけてしまう。

そして、高校最後のプロムの時に一部の同級生たちの彼女への陰湿な虐めがピークに至った時、彼女が我慢の限界を超えてしまう。

演じたシシー・スペイセクの虐められている時の惨めな様や冷たい狂気が圧巻のホラー映画。