2021年12月7日火曜日

クーリエ:最高機密の運び屋

202110月、Movix亀有にて『クーリエ:最高機密の運び屋』を初観賞。2020年公開。イギリスのスパイ映画。ベネディクト・ガンバーバッチ主演。

1960年代にイギリスの諜報機関MI6からスパイ活動の手助けを要請されてそれを引き受けてしまったロンドンのセールスマン、グレヴィル・ウィンの実話を基にした物語。

女房子供を幸せにするのが生きがいである一介のサラリーマンが、国の諜報機関から、ビジネスを装って外国に出張してその国の機密情報提供者と接触する事を依頼された場合、まず、世界平和の為ならと渋々協力、やがて、普段感じていなかった愛国心が芽生えてやりがいを感じるようになり、かの国のスパイにも次第に情が湧いてくる。ここまでは想像がつくが、キューバ危機の影でウィンさんがソ連のスパイに示した男気は絶対に真似できない。そもそも無謀だ。

ベネディクト・カンバーバッチが、MI6から依頼された仕事を全うしたにもかかわらず、世界平和の為に祖国を裏切ったソ連の内通者の安否を気遣い奮闘するウィンさんを見事に好演。特に、終盤のカンバーバッチの姿は、『告発』のケヴィン・ベーコンを連想するほど感動的だった。

キューバ危機に関しては『13デイズ』や『JFK』で何となく知っているつもりになっていたが、本作での、政治家たちの苦悩の影で実際の諜報機関がどういう役割を果たしていたのか少しだけ垣間見えて有意義だった。ジェームズ・ボンドやイーサン・ハントのようなスーパースパイの活動を観るのも楽しいが、本作のような実際のスパイの地道な活動を観るのもよりリアルな緊張感が味わえて面白い。

007』や『ミッション・インポッシブル』のような娯楽作品以上にシリアスなヒューマン・ドラマが描かれたスパイ映画の名作だ。

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