2021年2月24日水曜日

TENET テネット

2020年9月に公開された話題作『TENET テネット』を、同年に2回劇場観覧した。

主人公の男が謎の男ニールと組んで、悪党から世界とある女性を救うために奮闘する物語。

タイムトラベル物は好きではないのだが、面白そうな予告編や評判から、本作は観ておくべきだと思い、まず、長年敬遠していた同じタイムトラベル物である『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のパート1と2を予習も兼ねて観覧前にDVDにて観賞した。

1回目の観覧では、『BTTF』よりもはるかに複雑な時系列や「時間の逆行」の難解さに、早々に理解するのを放棄し、ひたすらその素晴らしい映像を楽しんだ。主演のジョン・デヴィッド・ワシントンを観るのは『ブラック・クランズマン』に続いて2回目。父親のデンゼル・ワシントンほどの華は無いが、その存在感に魅せられた。目を見張ったのは、初めて観るロバート・パティンソンの洗練された雰囲気と、同じく初めて観る金髪で長身のエリザベス・デビッキの美しさ。3人とも、演技も素晴らしかった。

2回目の観覧でも、その時系列を理解することは出来ず、その素晴らしい映像をただただ堪能した。そして、ベテラン俳優の2人、出番少な目のマイケル・ケインと悪役のケネス・ブラナーと、前述の3人の役者の演技を楽しんだ。特に、今回も、言いたいことを言えないもどかしさをおくびにも出さず、最後までクールに演じきったロバート・パティンソンの演技に魅せられた。

「時間の逆行」のシーンは、正直、積極的に理解する気はない。何度か観れば自然と理解出来るだろう。その過程を楽しもうと思う。『ブレード・ランナー』同様、長い付き合いになりそうな作品だ。

ラストが『カサブランカ』みたいだった。色んな要素が詰まった超娯楽大作。

2021年2月12日金曜日

ラ・ラ・ランド

2019年4月、キネマ旬報シアターにて、ミュージカル映画『ラ・ラ・ランド』を初観覧。リアルでシリアスな物語と洗練された作りに感動した。ただ、その一週間後に観覧した、楽天的なミュージカル『グレイテスト・ショーマン』が楽しすぎて、そして、その楽曲が素晴らしすぎて、本作の感動は薄れてしまっていった。だが、ネット上で本作のタイトルを目にするたびに、いつかまたゆっくり観賞しようと思ってはいた。そして、2021年1月、満を持して、丸の内ピカデリーにて再観覧した。

ジャズ・ピアニストのセブと女優志望のミアが、惹かれ合いながら、励まし合いながら、それぞれの夢を追いかける物語。

その若い二人は、まず、交通渋滞の中で出会った。その時の印象は、お互いあまりよくなくて、その後の再会の時もそうだった。だが、その再会時、ミアは、セブのピアノ演奏には惹かれていた。そして、その後も、またあるパーティで再会。それから、二人の距離は徐々に縮まり、いつしか、恋人同士になり、お互いの夢を応援することとなった。

ミアを演じているのは、エマ・ストーン。ストーンってこんなにブスだったっけと感じる程、序盤のミアは魅力的ではないが、セブと仲良くなり恋仲になっていくにつれて、彼女はどんどん可愛らしくなっていく。恋をして綺麗になっていくミアには本当に魅せられた。セブ役のライアン・ゴズリングも好演していたが、ミアを演じたストーンの方が光って見えた。

一番印象に残ったのは、旧友のバンドに加わって、コンサートで何とも言えない笑みを浮かべながら演奏しているセブを、ミアが見つめるシーン。その二人に、自分に嘘をついていないか問われた気がして、2回目の観賞時は、涙が零れた。

2021年1月27日水曜日

バック・トゥ・ザ・フューチャー3部作

2020年秋、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』3部作をTVにて初観賞。タイムトラベル物はあまり好きではない為、ずっと観る気になれなかったのだが、同じくタイムトラベル物で、当時公開されたばかりの『TENET テネット』がとても面白そうで観覧したくもなり、同時に、タイムトラベルつながりで『BTTF』にもようやく興味が湧き、『テネット』の予習も兼ねて観ることにした。

高校生のマーティが、かなり年上で科学者でもある、彼の親友ドクが発明したタイムマシンに乗って、過去や未来に行くお話。マーティ役はマイケル・J・フォックスでドク役はクリストファー・ロイド。名コンビだ。

1作目の公開は1985年。舞台も1985年のアメリカで、マーティがタイムマシンで30年前の1955年に行ってしまい、そこで、まだ結婚前の若い彼の父や母ロレインに出会ってしまう。このロレイン役のリー・トンプソンがとても愛らしい。気になった場面は、マーティがステージでチャック・ベリーの「ジョニー・B・グッド」を演奏していた時、それを観ていたバンドメンバーがチャック・ベリーらしき人物に電話を通じてそれを聴かせていたシーン。今だったら、白人至上主義と騒がれることだろう。

2作目の公開は1989年。1985年から2015年にタイムトラベル。2015年以前に観るべきだった物語。ファックスと分厚いテレビに笑ってしまった。また、複雑すぎる時系列を理解するのを早々にあきらめてしまい、この調子ではその数日後に観覧するつもりだった『テネット』は絶対に理解できないだろうと思った。

3作目は1990年公開。前作の後半で戻った1955年から1855年にタイムトラベル。小柄なマーティが、マカロニウエスタンのスター俳優でもあった、長身のクリント・イーストウッドの名を騙っていた事に笑ってしまった。

3作ともマイケル・J・フォックスの魅力満載で、彼のファンではなかったが、彼の人気の秘密が分かった気がした。

2020年11月5日木曜日

ガタカ

2020年秋、『ガタカ』をDVDにて観賞。1997年公開のSF映画。イーサン・ホーク主演。

遺伝子操作によって生まれた「適正者」が社会のエリートとなる世の中で、自然妊娠で生まれた「不適正者」のヴィンセントが、宇宙飛行士になるという自分の夢実現のために奮闘する物語。

「適正者」である弟に複雑な気持ちを抱いている、「不適正者」の兄ヴィンセントをイーサン・ホークが熱演。そして、そんな彼の夢実現に手を貸す、身体障碍者で「適正者」のジェロームを演じるのがジュード・ロウ。最初は投げやりだったが徐々にヴィンセントへの協力を惜しまなくなるジェロームの心の動きを、クールに演じ切っている。ジェロームに比べると、ヴィンセントは少し落ち着きが無い。それは、彼が「不適正者」故だったのかもしれない。そんな2人の男のドラマに、ユマ・サーマン演じる、ミステリアスな「適正者」の美女アイリーンが花を添えている。

SF映画ではあるが、主眼が置かれているのは、主要人物たちが織り成す人間模様であるため、ドラマ映画とも言える。特に前述の3人の掛け合いは見応えがある。

人の人生は、ある程度は遺伝子で決まってしまう。だが、天才という人種はとかく天狗になりがちだ。そして、可能性を信じて努力を重ねる凡才の姿こそが人を感動させるし、そんな情熱を持った凡才たちが怠惰な天才たちを時に凌駕する。何人たりとも驕るべきではない。

2020年10月13日火曜日

ブックスマート

2020年9月、『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』をMovix亀有にて観覧。2019年公開作。女優でもあるオリヴィア・ワイルドの初監督作品。

真面目に高校生活を送っていた二人の女の子、ビーニー・フェルドスタインとケイリトン・デヴァーがそれぞれ演じるモリーとエイミーが、卒業式前にハメを外すお話。

これまでに観た青春コメディの中で一番好きな作品。この手の映画は、通常、エル・ファニングのような典型的な美女を主演に据えるもの。しかし、本作にはキャリー・フィッシャーの娘でもある、ビリー・ロードという美人女優が出てはいるものの、彼女は脇役だし、主役の二人はと言えば、それぞれ魅力的だが、目を奪われるような美貌の持ち主ではない。そして、突出した存在の登場人物がいない分、物語そのものに集中でき、おまけに、脇役である他のクラスメートたちの事もそれぞれ丁寧に描かれているので、隅から隅まで楽しめる素晴らしい作品だ。

最も新鮮だったのは、レズについての描写。今回、初めてレズビアンの恋愛を観た。同性愛はゲイだけではない事を改めて認識でき、また、観覧後は街中で手を繋いで歩く女性たちが微笑ましく思えるようにもなった。

だが、この作品の最大の魅力は、何と言っても主役の2人のユニークさと面白さだろう。冒頭から変なダンスで登場した彼女たち。そんなノリが最後の最後まで続き、可愛らしくも、愉快で痛快なコンビだ。

2020年9月25日金曜日

死霊館

2020年8月の暑い夜、『死霊館』をTVにて初観賞。2013年公開作品。

ホラー映画は興味が無いのであまり観ない。2019年に、話題になっていたので、『イット THE END』と『ドクター・スリープ』を劇場観覧したが、2作とも同年に観たスリラー映画『グレタ』よりも怖くはなかった。過去に観たホラー映画で一番怖かったのは実話を基にしていた『エミリー・ローズ』。本作も実話とのことで視聴する気になった。

田舎の一軒家に引っ越してきた夫婦とその5人の娘からなるある一家が、恐ろしい体験をするお話。

途中まで怖かったが、徐々に、これは本当に実話なのか、という疑念が大きくなり、恐怖心が無くなった。

特筆すべきは、一家の母役の女優の演技。素晴らしかった。調べてみると、ジョン・キューザック主演の『セイ・エニシング』と『ハイフィデリティ』に出ていた個性的な顔立ちの若い女優が、年齢を重ねて割と綺麗な婦人へと変貌を遂げた姿だった。リリー・テイラー。キャシー・ベイツやキャリー・フィッシャーもそうだが、月日とともに魅力が増す女性は素敵だ。

2020年8月21日金曜日

ジョーズ

スティーヴン・スピルバーグ監督作の『ジョーズ』。1975年公開。初観賞は子どもの頃にTVにて。鮫狩りのクイントが黒板に爪を立てて不快な音を立てた時に周りの人間が不快な顔をするのを観て日本人同様アメリカ人にとってもそれが不快な音であるのを知った事と、人食いザメが恐ろしかった事しか記憶に無いまま、2019年8月、キネカ大森にて再観賞。中盤まで若干退屈だったが、終盤はかなり楽しめた。そして、2020年8月、TVにて3度目の観賞。

人喰いザメが出没する観光地の島で、人間たちがそのサメと対決するお話。

特に、終盤の、船に乗った3人の男たちと巨大鮫との壮絶な戦いのシーンが素晴らしい。まさに名作という名にふさわしい作品だ。

その3人の中で、警察署長のブロディが、船酔いで意外とヘタレだったり、つまらない事で八つ当たりするのが可笑しかった。普段から体裁ばかり気にするオッサンは、皆、イザという時は大体あんな感じだと思う。そして、他の二人のうちの一人、鮫に詳しい若い学者フーパーが、漁の経験が豊富なもう一人の乗組員の漁師クイントに憧れつつ反発する姿も若者らしくて微笑ましい。また、その漁師の豪快さも男の中の男という表現がぴったりくる。愉快な3人組だ。

正直、前半は退屈だ。だが、そこでは人間社会で必死に生きている当時の人たちの愚かさや醜さがしっかりと描かれている。そして、その様は、現在の人たちとあまり変わらない。観賞後、人間は精神的には簡単に進化しないんだろうな、と改めて暗澹たる気持ちになった。

2020年8月17日月曜日

キック・アス

2020年8月、『キック・アス』をDVDにて初観賞。2010年公開のヒーロー映画。

ヒーローに憧れてその活動を始めたオタクの高校生と本物のヒーロー父娘、ビック・ダディとヒット・ガールが悪を退治する物語。

クロエ・グレース・モレッツの出世作として有名なので、彼女のファンである事を公言するなら観るべきだと思い、視聴。彼女は公開時13歳。想像以上に魅力的な女の子だった。彼女を初めて観たのは『ヒューゴの不思議な発明』。以前通っていた翻訳学校の課題作品だったので義務的に観たせいか、可愛い女の子がいるなという程度の印象だった。彼女のファンになったきっかけは、スリラー映画『グレタ』。2度劇場観覧した。大人になった彼女はとても魅惑的だった。だが、本作で女の子ヒーローのヒット・ガールを演じていた彼女もまた魅力的で、今年3月に観たハーレイ・クインよりも可愛くてカッコ良かった。彼女の凛とした立ち居振る舞い、ためらいの無い鋭い動きと攻撃、そして、その感情が溢れ出す可愛らしい表情に魅せられた。悪党に殴られて血みどろになるシーンは観ていて辛かったが、最後まで諦めない強い意志を感じる眼差しは凛々しくもあった。勿論、ヒット・ガールに変身する前の女の子ミンディも可愛かった。

ファンの方には申し訳ないが、主演の若い俳優の印象は薄い。ヒット・ガールの父親役の大物俳優、ニコラス・ケイジもクロエ・グレース・モレッツの熱演の前では、存在感があまり無かった。無論、これは、クロエ・グレース・モレッツが好き過ぎる私の独断と偏見である。

2020年8月10日月曜日

アイ・フィール・プリティ!

2018年12月、『アイ・フィール・プリティ!人生最高のハプニング』をMovix亀有で初観賞。2018年公開のコメディ映画。

外見にコンプレックスを持った女、レネーの奮闘記。

初観賞時は感動した。そして、この作品きっかけで、『エイス・グレード』、『マレフィセント2』、『アナ雪2』、『グレタ』、『ティーンスピリット』、『ハスラーズ』、『スキャンダル』、『ジュディ』、『ハーレイ・クイン』、『ストーリー・オブ・マイライフ』といった女性が主役の映画を好んで観覧し続けた。

そして、2020年8月、DVDにて1年9カ月ぶりに本作を再観賞したが、初回ほどの感動はなかった。それは、それまでに新たに観てきた魅力的なヒロインたちと本作のレネーを比較してしまっていた所為だと思う。

改めて観たレネーは、その女性らしいぽっちゃり体型が愛らしく見え、デブには感じなかった。劇中では、やたらと痩せた女性と並べさせられて、太めであることを印象付けられていたが、実際には、綺麗な顔立ちと共に、巷の男性の間では美人で通る容姿だと思う。だから、彼女が容姿にコンプレックスを持っている設定に若干現実味が無い。余計なお世話かもしれないが、本当にコンプレックスを持っていそうな、かつ、演技の上手い女優で本作をドラマ映画に仕上げていたら、気の持ちようで人生はどうにでもなる、というメッセージをより鮮明に表現出来たのではないかと思う。

テーマが良いだけに、コメディエンヌのエイミー・シューマーの為の映画になっている感が少し残念だ。

2020年8月7日金曜日

カセットテープ・ダイアリーズ

2020年8月、『カセットテープ・ダイアリーズ』をTOHOシネマズ日本橋にて初観賞。2019年公開のイギリスのドラマ映画。事実に基づく物語。

イギリスのある地方都市で高校生活を送るパキスタン人ジャベドは、近隣住民からの人種差別行為や父親との関係について悩んでいたが、ある日、ブルース・スプリングスティーンのロック・ナンバーを聴いて、その歌詞に触発され前向きに生き始める。そんなジャベドの青春が描かれている。

ブルース・スプリングスティーンの「ダンシング・イン・ザ・ダーク」、「バッドランド」、「ザ・リバー」、「ハングリー・ハート」そして「明日なき暴走」といった名曲たちが流れ始めた途端、懐かしさもあって涙腺が崩壊した。久々の感涙。彼の大ファンだったわけではないが、名曲は名曲。音楽の力ってホントにスゴい。改めて思った。

作品自体も良作。だが、出演者は、劇中のテレビ画面に映っているブルース・スプリングスティーン以外は初めて見る役者さんばかりで、演技も、上手いとは思ったが、それ程凄いとは感じなかった。ただ、登場人物たちが、本当にその田舎町に実在していた人物なのかと思えるほど、それぞれ個性的で魅力的だった。ジャベドに詩や物語を書くことを熱心に勧める学校の女教師と、同じく彼に詩を書くことを勧める彼の家の隣に暮らす白人のお爺様が、共に印象的だった。そして、特に、ジャベドの幼友達マットの父親の、ブルース・スプリングスティーンへの傾倒ぶりが愉快だった。また、マットが、ジャベドが持っていたポスターに写っているブルース・スプリングスティーンを見て、「ビリー・ジョエル?」と聞いたシーンには、私にも、ブルース・スプリングスティーンのポスターを見ながら「彼はビリー・ジョエルだ」と、友達に自信満々で言って笑われた思い出があるだけに、デジャブだと感じつつ笑ってしまった。

ジャベドがブルース・スプリングスティーンの名曲たちを聴きながら、明るく前向きに生き始める姿は観ていて微笑ましかったが、ジャベドと確執のあった父親の終盤における変貌ぶりもまた微笑ましかった。

イギリス映画なのに、ボスとアメリカを過度に称賛している点が少し引っかかったが、青春映画としては素晴らしいと思う。