2020年8月7日金曜日

カセットテープ・ダイアリーズ

2020年8月、『カセットテープ・ダイアリーズ』をTOHOシネマズ日本橋にて初観賞。2019年公開のイギリスのドラマ映画。事実に基づく物語。

イギリスのある地方都市で高校生活を送るパキスタン人ジャベドは、近隣住民からの人種差別行為や父親との関係について悩んでいたが、ある日、ブルース・スプリングスティーンのロック・ナンバーを聴いて、その歌詞に触発され前向きに生き始める。そんなジャベドの青春が描かれている。

ブルース・スプリングスティーンの「ダンシング・イン・ザ・ダーク」、「バッドランド」、「ザ・リバー」、「ハングリー・ハート」そして「明日なき暴走」といった名曲たちが流れ始めた途端、懐かしさもあって涙腺が崩壊した。久々の感涙。彼の大ファンだったわけではないが、名曲は名曲。音楽の力ってホントにスゴい。改めて思った。

作品自体も良作。だが、出演者は、劇中のテレビ画面に映っているブルース・スプリングスティーン以外は初めて見る役者さんばかりで、演技も、上手いとは思ったが、それ程凄いとは感じなかった。ただ、登場人物たちが、本当にその田舎町に実在していた人物なのかと思えるほど、それぞれ個性的で魅力的だった。ジャベドに詩や物語を書くことを熱心に勧める学校の女教師と、同じく彼に詩を書くことを勧める彼の家の隣に暮らす白人のお爺様が、共に印象的だった。そして、特に、ジャベドの幼友達マットの父親の、ブルース・スプリングスティーンへの傾倒ぶりが愉快だった。また、マットが、ジャベドが持っていたポスターに写っているブルース・スプリングスティーンを見て、「ビリー・ジョエル?」と聞いたシーンには、私にも、ブルース・スプリングスティーンのポスターを見ながら「彼はビリー・ジョエルだ」と、友達に自信満々で言って笑われた思い出があるだけに、デジャブだと感じつつ笑ってしまった。

ジャベドがブルース・スプリングスティーンの名曲たちを聴きながら、明るく前向きに生き始める姿は観ていて微笑ましかったが、ジャベドと確執のあった父親の終盤における変貌ぶりもまた微笑ましかった。

イギリス映画なのに、ボスとアメリカを過度に称賛している点が少し引っかかったが、青春映画としては素晴らしいと思う。


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