2020年3月9日月曜日

アイリッシュマン

キネマ旬報シアターにて『アイリッシュマン』を3回観覧した。 
初観覧は2019年11月。同じ匂いがする役者達の為に開かれた同窓会のように感じた。そして、名優達の演技はアートに思えた。 
次の2019年12月の観覧時には、前回よりも味わい深く感じ、生涯の映画になりそうな予感がした。 
その後、2020年2月、3回目の観覧。さらに味わい深く感じるかと思いきや、名優達の老いが気になってしまった。劇場観覧をするようになったのはここ数年。前回、前々回は、そのベテラン俳優達をスクリーンで観るのが初めてだったので、鳥肌が立ったりして感動しっ放しだった。だが、その前後で観たホアキン・フェニックス、ユアン・マクレガー、そして、クリスチャン・ベールのオーラと比べると、明らかに輝きが鈍い。映画俳優としては素晴らしいが、スターではなくなっていると感じた。 
小さい画面ではあるが、彼等の絶頂期の作品を何度も飽きずに観続けた身としては寂しい限りだが、現実を直視すべき時が来たようだ。昔馴染みの俳優だけを追い続けていたら、今旬な俳優達を観逃がしてしまう。あの老俳優達が今現在の自分をさらけ出したのも、何らかの意思表示だったのかもしれない。もう俺達は十分にやり切った、今後は若い奴らを観てやってほしい、と。 
ロバート・デ・ニーロとアル・パチーノ。絶頂期ほどの輝きは無いが、相変わらず名優。演技は完璧。引き際を心得たかのような生き様がカッコいい。 ジョー・ペシ。演技は素晴らしかったが、若かりし頃のファニーな感じが無くなっていて、寂しい。今回は、キレる役が多かった昔と違い、常に冷静に大局を見ている役柄が何だが可笑しかった。個人的には、『ミーン・ストリート』が好きなので、ハーヴェイ・カイテルと役を代わって欲しかったが。

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