2023年4月23日日曜日

モリコーネ

『モリコーネ 映画が恋した音楽家』

ドキュメンタリー映画。2021年公開。ジュゼッペ・トルナトーレ監督作。2023年3月にシネスイッチ銀座にて初観賞。

映画音楽の巨匠、エンニオ・モリコーネの生涯が著名人のインタビューを交えて描かれている。

前半は、イタリア人である彼の生い立ちや古い映画の話だったので、睡魔との闘いだった。『続・夕陽のガンマン』の音楽に感動したというブルース・スプリングスティーンと『時計仕掛けのオレンジ』を撮影していたスタンリー・キューブリックが彼と仕事をしたがっていたことが印象的。感動して目が潤み始めたのは『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』の話から。ロバート・デ・ニーロやジェームズ・ウッドといった名優の演技以上に音楽が素晴らしい作品だ。約4時間にもかかわらず彼が作り上げた美しい曲たちのおかげで全く退屈しない。『ミッション』はシリアスな物語だったので再観賞する気はなかったが、彼が音楽を担当していたと知ってまた観賞したくなった。『アンタッチャブル』は好きな作品。再観賞時は音楽にもより耳を傾けよう。そして、『ニュー・シネマ・パラダイス』。名作として誉高いが、私には、アルフレードの行為が彼のエゴにも映る。だが、そんな事がどうでもいいと思えるほど、全編に流れる旋律が美しい。『Uターン』の話では、監督のオリバー・ストーンが、『トムとジェリー』を参考にしてほしい、と彼に言ったら怒られた、と笑いながら話していた。個性が強い方々の逸話は面白い。

2006年にアカデミー名誉賞が授けられるまで、その音楽賞に5度もノミネートされたにもかかわらずオスカーは獲得できなかった彼。クエンティン・タランティーノ監督作の2015年公開映画『ヘイトフル・エイト』でついにオスカーを獲得。長年の実績を考えると遅すぎる受賞。その授与式は本当に感動的だった。偏見や妬みをはねのけ続けて掴んだ栄光の瞬間に涙が零れた。巨匠の不屈の精神を体現した生き方が素敵すぎる。

同じく映画音楽の巨匠であるジョン・ウィリアムズさんもインタビューで彼について語っていた方々の一人だった。私が子供の頃から有名だったお方だったので、まだご存命だった事にまず驚いて、まだ全然枯れていない事にも驚いた。公開時90歳。モリコーネさんは2020年に91歳で他界されているが、本作でのお姿はお元気そうだった。高齢でも元気でいられる秘訣って、現役で有り続けることなんだろうな。

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