2023年4月7日金曜日

イニシェリン島の精霊

『イニシェリン島の精霊』

悲喜劇映画。2022年公開。マーティン・マクドナー監督作。コリン・ファレルとブレンダン・グリーソンのW主演。ケリー・コンドン出演。2023年2月にTOHOシネマズ八千代緑が丘にて観覧。

アイルランドの小さな孤島における、話が面白くない男とバイオリン好きな男の奇妙な友情物語。

ある日、突然、親友と思っていたコルムから絶縁宣言を受けたパードリック。理由を知りたくて執拗にコルムに話しかける彼を見ながら、分かりやすく無視しているにもかかわらず私にしつこく話しかけてきた輩たちを思い出して苛々した。我慢の限界を超えたらもう駄目なんだよ、もう話しかけるなよ、と彼に言いたくなった。彼が絶縁された理由は彼の話がつまらないから。退屈だから。妥当な理由だ。そう言われてもめげずに話しかけるパードリック。いい加減にしろよ、と言いたくなった時、コルムが理解に苦しむ愚行に出た。ホラーっぽい行動だったが、私には受け入れ難かった。作品自体がメタファーであると言うレビューを多々目にするが、そんな風に考える気は微塵にも起きない。本作よりも断然良いと感じる『シー・セッド』がノミネートされなかったアカデミー賞作品賞に本作がノミネートされていた事にも納得できなかった。オスカーまで獲得していたら、私のアカデミー賞への信頼度は確実に薄らいでいただろう。コリン・ファレルとブレンダン・グリーソンは演者としてパードリックとコルムをそれぞれ好演していたと思う。私が好きになれないのは物語自体だ。下衆な警官、俗な神父、不気味なおば様といったその他の登場人物が私の本作に対する嫌悪感に拍車をかけていた。唯一の救いは読書家で美しい、パードリックの妹、シボーンの存在。不条理がはびこるその島の中で彼女のまともさだけが際立っていた。演じたケリー・コンドンの事をずっとレベッカ・ファーガソンだとも思っていたが、とても綺麗な役者さんだ。

世間の評価を考えると良作なのであろうが、私の好みではない。

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