2021年3月24日水曜日

エイス・グレード

2019年9月、ヒューマントラストシネマ有楽町にて『エイス・グレード 世界で一番クールな私へ』を初観覧。そして、先日、DVDにて再観賞。2018年公開の青春映画。エルシー・フィッシャーの初主演作で、ボー・バーナムの監督デビュー作でもある。

アメリカの中学2年生の女の子、ケイラの成長記。

ケイラは内気で口下手な女の子。学校で、「最も無口な女の子」に選ばれてしまってショックを受ける、どこにでもいそうなイケてない女の子。クラスのイケてる女の子たちと仲良くなりたくて彼女たちに一所懸命話しかけるが、全く相手にされない。家では父マークと二人暮らし。食事中でさえスマホを手放さないケイラ。そんな娘と話をしたいマーク。でも、スマホに夢中なケイラは話しかけてくるマークをウザがる。そんなケイラの日常が彼女の中学卒業まで淡々と描かれている。可笑しかったのは、彼女が苦手なバナナを食べようとする場面。いじらしかったのは、ポッチャリ体系の彼女が、痩せている友だちが大勢いるプールパーティに、水着姿で恥ずかしそうに現れる場面。様々な事が起きるが、ケイラは、優しい父に見守られながら、自分を見失う事無く少しずつ着実に成長する。そんな彼女の健気な姿がとても愛らしい。

『ブックスマート』同様、主人公がクラスの人気者ではないので、とてもリアルなドラマに仕上がっている。クラスの人気者が主役の青春ドラマも悪くはないが、学校なんて、目立たない地味な学生の方が多いのだから、今後も、こんな作品が増えてほしいと思う。美男美女の学生カップルの恋愛なんてありきたりだし。

初観賞時、正直、リアルすぎる主人公に戸惑った。だが、その後、等身大の女性が主人公の『ブックスマート』『レディ・バード』『フランシス・ハ』といった良作の観賞を通して女性のリアルな描写に慣れたせいか、本作の再観賞時は、前回よりケイラをより愛おしく感じて、涙が零れた。

元子役のエルシー・フィッシャーの堅実な演技が光る秀作。

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