2024年7月31日水曜日

哀れなるものたち(2024)

 『哀れなるものたち』。アイルランド、英国、米国合作のドラマ映画。ヨルゴス・ランティモス監督作。

エマ・ストーンのセックスをしている時の全くエロく感じない野獣じみた絶叫を観て、アダルトビデオの監督が、我々は男のオナニーのための映像を撮影している、と言っていたのを思い出した。私が見慣れている彼らが撮影したセクシー女優たちは色気をふりまいているというよりも男をその気にさせる演技をしているということなのだろう。そして、ストーンが演じていたのは男の目を意識せずにひたすら己の快楽に浸っている女。世間では『恋人たちの予感』のメグ・ライアンみたいに感じているふりをしているだけの女性も少なくないんだろうな。

本作では主人公が売春宿で働き始める。初めは違和感を覚えたが、よくよく考えると、世話になっている男たちはたくさんいるのにお金で彼らの相手をしているだけの売春婦だけが穢れていると思われているのはやはりおかしい。初体験をさせようと二人の息子を連れてきた紳士を観てますますそう感じた。神聖な職業とまでは思わないが、極端に売春婦たちが汚らわしいと蔑まれるのは社会が男性優位だからだろう。そんな事を気づかせてくれた作品だった。

風俗店に関して言えば、以前、病気が怖いから行きたくない、と女友だちに言った時、彼女は、風俗嬢よりも男と寝ている普通の女はたくさんいる、むしろ、病気を持っている可能性が高いのは風俗嬢ではなく普通の女たちの方だ、風俗嬢は店からの指示で普通の女たち以上に健康診断を受けている、と力説していた。多分本当なのだろう。

2023年公開のマーゴット・ロビー主演作『バービー』と同様にフェミニズムの映画として絶賛されている本作だが、両作とも私にはファンタジーが過ぎたので作品としては好きになれなかった。しかし、主演俳優はどちらも大好きだ。

0 件のコメント:

コメントを投稿