2023年6月21日水曜日

デヴィッド・ボウイ ムーンエイジ・デイドリーム

 『デヴィッド・ボウイ ムーンエイジ・デイドリーム』

ドキュメンタリー映画。2022年公開。140分。ブレット・モーゲン監督作。TOHOシネマズ 流山おおたかの森のIMAXで初観覧。キネマ旬報シアターにて再観覧。

ロック・ミュージシャン、デヴィッド・ボウイの生涯が主に彼自身の言葉と音楽で語られている。

70年代の派手なファッションに身を包んだ彼は、ゲイが精神病だと思っていた、無知だった子供の私には奇異に映っていた。だが、彼が、当時、バイセクシャルである事を公表して社会の偏見と闘っていた事を本作で知り、彼がただの有名ロック・ミュージシャンではなく人格者だったことに感銘を受けた。ストーンズ、ピストルズ、オアシスといったロックバンドが好きなので、実は、数年前まで、ソロ・アーティストだったデヴィッド・ボウイにはあまり関心が無かった。それでも彼のアルバム『レッツ・ダンス』と『トゥナイト』は持っていた。その中で一番好きだった曲は、先月お亡くなりになったティナ・ターナーさんとのデュエット「トゥナイト」。そして、長い間、ノリのいい「ブルー・ジーン」が彼の代表曲だと思っていた。『レッツ・ダンス』に関しては、シングルカットされた同名曲と「チャイナ・ガール」が好きではなかったので、あまり聴いていなかったが、数年前に観賞した映画『フランシス・ハ』で使われていた一曲目の「モダン・ラブ」が凄くカッコいいことに遅まきながら気づいて、『レッツ・ダンス』を軽んじていた事を後悔した。その後、映画館で観た『ジョジョ・ラビット』のエンディング曲、「ヒーローズ」の素晴らしさにも感動。その曲がベルリンの壁崩壊に一役買っていたことも後で知って、彼の他の曲も聴き始め、彼への印象が大きく変わっていた昨今だったので、本作は、そんな私にはうってつけだった。

観覧中に涙したのは「ヒーローズ」のイントロが流れ出した時。彼のファンもまた皆ファッショナブルでカッコよくって、なんだかボウイの分身のように感じた。彼らの彼への崇拝ぶりは、彼の存在が彼らにとっていかに大きいのかを物語っていて、なぜ、長い間、彼の凄さに気づけなかったのかと改めて恥ずかしくなった。

また、ジョン・レノンやフレディ・マーキュリーと同じく、彼が日本に好感を持っていた事は、日本人として嬉しかった。

デヴィッド・ボウイの、歌手や役者といったパフォーマーとしてだけではなく、人としての魅力が詰まったドキュメンタリー映画の傑作。

0 件のコメント:

コメントを投稿